大きな北国での小さな日常。

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その♂。凶暴につき。

「今日も一日完全燃焼したわ!」という満足感が全く得られない今週でしたわ。
残ったのは泥のように疲れきった肉体と、新たに出来た引っかき傷数点。
今週の仕事のほとんどは handling with rats。実験遂行をスムーズに行うため、ねずみちゃん達に私の匂いを覚えてもらうべく「持ち上げて、抱っこして、またケージに戻す」という作業のこと。

なんでぃ。楽な仕事じゃねーか。

そう思ったそこのアナタは完全にねずみちゃんをナメている。
ねずみちゃんというのは、人間が想像する以上に賢くて繊細な生き物。
こちらのことを認識してもらうまでの数日間は
「叫ぶ・引っかく(または噛む)・暴れる」彼らとの戦いの日々でもある。
また「手術前・後」「オス・メス」「成人・青少年期」によって、その期間はずいぶんと変わる。

一番扱いやすい、というか一番おとなしいのは「手術前」の「成人」した「オス」のねずみちゃん。オスよりメスの方が、成人より青少年期の方が動きが激しく、よって叫び声も猛々しい。
でも成人オスに比べて慣れるまで時間がかかるだけなので、こちらのことを覚えてもらえれば大丈夫。

問題は「手術後」のねずみちゃん。

たとえ術前の性格がとてもおとなしくても、術後になると信じられないほど凶暴になることが多々ある。現に前回での加害ねずみの変わりようはえげつないほど(おかげでいまだにこの一匹だけは触ることが出来ない。中途半端に私の匂いを覚えてしまっているから、今でも私だけに威嚇)。

今週は、そんな術後ねずみちゃん・40匹を相手に「持ち上げて、抱っこして、またケージに戻す」担当になってしまった。
ただでさえ上記の理由で、術後ねずみにまだ少し緊張するのに、今回のねずみちゃんはしょっぱなから手術をしたため、一匹たりとも私の匂いを知らない。

暴れるわ、叫びまくるわ、引っかきまくるわ、排泄物をぶちかましてくれるわで、最初の2匹(1ケージに2匹ずつ)でぐったり。

しかしそんなのは、ほんの序の口だった。

「彼」は、ケージに入ってる段階からおかしかった。
常にケージ内を動き回って落ち着きがなく、止まったかと思えば側壁をがりがりとかきむしる。おかげで彼の爪はボロボロに割れていた。
案の定、院生のJAが抱き上げようとするとガブリと指に噛み付いた。幸い、プロテクト用の分厚い手袋をしていたので事なきを得たけど、もしこれが普段のゴム手袋だったらと思うと、さすがの私も本気でゾッとした。

それでも自分の性格上「出来るとこまでやってみよう」という気持ちがあったのも事実だったので、プロテクト手袋を借りて「背中に触るだけでも」と、20センチほどケージを開けたその時だった。



彼は1メートルほど空を飛んだ。

首を出すだけでやっとのその隙間から、信じられない飛躍力でもってケージの外へ飛び出し、飼育室の隅にある洗面台の裏へ隠れてしまった。

その場にいた人間、全員ボー然。

我に返ったJAが慌てて捕まえたものの、彼の形相は明らかに他のねずみとは違っていたし、生殖器もずっとエレクトしていたから、興奮状態がずっと続いていたんだろう。「いままでこんなのみたことがないよ!」と、JAが叫んだほど彼は完全なる「サイコ(psycho)」だった。

はい、お手上げです。触れません。丁重にお断りさせていただきます。

「彼」以外のねずみちゃんを触り終わったあと、研究室に戻ったものの
しばらくボーっとしてしまうほど、身体の芯から疲れてしまった。

なぜこうなってしまうのか、原因はよくわからない。
ただし、海馬(hippocampus)やその周りの周辺細胞、特に線条体(striatum)は認知過程(cognitive process)に大きく関係していて、今回はこれら2箇所にNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸;簡単に言えば、神経伝達物質を受容するアミノ酸の一種。摂取過多だとカルシウムイオンが細胞組織内に多量に入ってしまうため、細胞が壊滅することに)を注入した。でも「だからこうなった」と一概に言い切れないところが脳の世界の奥深さ。なぜなら、全く同じ条件で手術した6匹のうち、サイコになってしまったのは「彼だけ」なのだから。

彼らを使っての実験は来週後半の予定。
ぐったりとする日はもうしばらく続きそう。
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コメント
サイコラット!?
1m空を飛んだ!?ぎゃあ!
ホラー映画のシーンみたいですね。
どうぞご無事に実験終了出来ますように☆
2006/06/17(土) 14:38 | URL | ジョナ #GMLiBkns[ 編集]
*ジョナさま

>1m空を飛んだ!?ぎゃあ!

いや、ホントにね
ねずみちゃんが宙をチューっと舞ったんですよ←あ、くだらん・・・

日にちが経てばある程度は落ち着いてくるものなのですが
彼は今日も暴れまくり、とうとう別ケージに隔離されてしまいました。
鎮静剤打ってもほとんど効かなくて。
なので、彼への実験は院生さんが直接行うことになりました。

handling は、相変わらず疲れますが、徐々に慣れてくるに従って、こちらに身を預けてくれるようになると可愛くて、ついナデナデしています。
心を開いてもらうにはまずこちらの心を開くこと。
人間と一緒です。
2006/06/19(月) 20:38 | URL | やまざき #-[ 編集]
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